骨盤底筋・有酸素運動・筋トレ。男性の運動プランの組み立て方
この記事は論文・学会・公的機関の資料をもとに作成し、出典を記事の最後に示しています。医師の監修は受けていません。編集方針
勃起や射精の悩みと運動の関係は、骨盤底筋トレーニング・有酸素運動・筋トレの3つで研究されています。研究で使われた量をもとにした目安は、骨盤底筋が1日3回、有酸素運動が週150〜160分、筋トレが週2〜3回です。どれも小規模な研究が中心で、運動が治療の代わりになるわけではありません。悩みが続く場合は泌尿器科・メンズクリニックで相談してください。
3本柱と量の目安
下の数字は、それぞれの研究で参加者が行った量をもとにした目安です。いきなり全部をそろえる必要はなく、今の運動量から少しずつ近づけていきます。
なぜ3つを組み合わせるのか
骨盤底筋は、陰茎の付け根を囲み、勃起の維持や射精にかかわる筋肉です。一方で、勃起そのものは血管の働きに支えられていて、EDの原因には動脈硬化・肥満・高血圧・糖尿病など、血管や代謝の問題がかかわることが多くあります。
そのため研究も、骨盤の底の筋肉を鍛える方法(骨盤底筋トレーニング)と、全身の血流や体重にかかわる方法(有酸素運動・筋トレ)の両方から行われてきました。3つを組み合わせるのは、この2つの方向をどちらも押さえるためです。
研究でわかっていること
骨盤底筋トレーニング
EDでは英国の55人を対象にしたランダム化比較試験(Dorey ら、2004年)、早漏ではイタリアの40人を対象にした12週間の研究(Pastore ら、2014年)があります。数字と限界はEDの記事と早漏の記事にまとめています。
有酸素運動
- 対象
- 運動不足・肥満・高血圧・メタボリック症候群・心血管の病気がかかわるEDの男性を対象にした介入研究
- 著者らの提案
- 中〜高強度の有酸素運動を上の量で続ける(週160分)
- 注意
- 原因がほかにあるEDには当てはまりません
- 比べたもの
- 走る運動をするグループ/薬(ダポキセチン)を使うグループ/比較のための軽い運動のグループ
- 報告
- 走る運動のグループでも射精までの時間が延び、その変化は薬のグループと同じくらいだった
- 注意
- 小規模で期間の短い試験です
筋トレ(有酸素運動との組み合わせ)
- 対象
- 前立腺がんの治療を受けた男性
- 方法
- 有酸素運動20〜30分と、筋トレ6〜8種目(各6〜12回)を週3回。自宅での有酸素運動とあわせて週150分以上
- 比べたもの
- 通常のケア
- 報告
- 6か月後、運動のグループで勃起機能の評価が通常ケアのグループより良かった
- 注意
- 前立腺がんの男性の研究で、ほかの男性にそのまま当てはまるとは限りません
2023年に英国の大学がまとめた総説でも、早漏に対する運動(走る運動・骨盤底筋トレーニング)の研究は有望だが、より大きな研究が必要とされています。
1週間の組み立て例
研究の量に近づけた場合の一例です。骨盤底筋は毎日1日3回。有酸素運動は週5日・1回30分(週150分)、筋トレは有酸素運動の日に週3回組み合わせています。
| 曜日 | 有酸素運動 | 筋トレ |
|---|---|---|
| 月 | 30分 | 15〜20分 |
| 火 | 30分 | 休み |
| 水 | 30分 | 15〜20分 |
| 木 | 休み | 休み |
| 金 | 30分 | 15〜20分 |
| 土 | 30分 | 休み |
| 日 | 休み | 休み |
しばらく運動していない場合は、早歩き20分を週3〜4日など、続けられる量から始めて少しずつ延ばします。筋トレはスクワットやブリッジなど、器具のいらない下半身と体幹の運動から始められます。


12週間の進め方
研究の多くは3〜6か月続けた結果を評価しています。まずは12週間を一区切りにして、少しずつ強さを上げます。
| 時期 | 骨盤底筋の秒数 | 有酸素運動・筋トレ |
|---|---|---|
| 1〜2週 | 3〜5秒 | 今の運動量から。きつすぎない強さで |
| 3〜6週 | 5〜7秒 | 有酸素運動の時間を少しずつ延ばす |
| 7〜12週 | 8〜10秒 | 週150分前後、筋トレ週2〜3回に近づける |
強さを上げるかどうかは、終わったあとの感覚で決めるのが現実的です。「楽だった」が続けば少し上げ、「きつかった」が続けば下げます。
1分ケーゲルを、いまやってみる骨盤底筋の1回分は、ここで試せます。断面図の動きに合わせて、締める・ゆるめるを10回。登録もアプリも不要です。研究の限界と注意
- どの研究も参加者が数十〜百人ほどと少なく、期間も3〜6か月です。
- 多くは専門家が指導した運動で、一人で行う運動やアプリで同じ結果になるかはわかりません。
- 現時点では、運動がEDや早漏の治療として確立しているとはいえません。
- 心臓の病気・高血圧・糖尿病などがある方や、しばらく運動していない方は、始める前に医師に相談してください。運動中に胸の痛み・息切れ・めまいが出たら中止してください。
- EDは、心臓や血管の病気のサインのこともあります。受診の目安も確認してください。
よくある質問
骨盤底筋トレーニングだけで十分ですか?
EDや早漏と運動の関係では、骨盤底筋トレーニングのほかに、有酸素運動(週150分前後)や、有酸素運動と筋トレの組み合わせも研究されています。どれも小規模な研究が中心で、運動が治療の代わりになるとはいえません。3つの運動の研究と週の組み立て方は男性の運動プランにまとめています。
1日にどれくらいやればいいですか?
数秒締めて同じ時間ゆるめる動きを8〜10回で1セットとし、1日3回(朝・昼・夜など)が目安です。慣れないうちは1日1〜2回から始めてもかまいません。EDや早漏を対象にした研究の多くも、毎日のトレーニングを12週間(約3か月)前後続けています。
参考文献
- Dorey G, et al. Randomised controlled trial of pelvic floor muscle exercises and manometric biofeedback for erectile dysfunction. Br J Gen Pract. 2004;54(508):819-825. pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC1324914/(閲覧日 2026年10月13日)
- Pastore AL, et al. Pelvic floor muscle rehabilitation for patients with lifelong premature ejaculation: a novel therapeutic approach. Ther Adv Urol. 2014;6(3):83-88. doaj.org/article/aea4980b10dd4dd791f1f3168656deb5(閲覧日 2026年10月13日)
- Gerbild H, et al. Physical Activity to Improve Erectile Function: A Systematic Review of Intervention Studies. Sex Med. 2018;6(2):75-89. doaj.org/article/91eb296258654277ba5cb0268ced6754(閲覧日 2026年10月13日)
- Kilinc MF, et al. Impact of physical activity on patient self-reported outcomes of lifelong premature ejaculation patients: results of a prospective, randomised, sham-controlled trial. Andrologia. 2018;50(1):e12799. search.pedro.org.au/search-results/record-detail/52397(閲覧日 2026年10月13日)
- Galvão DA, et al. Exercise and psychosexual education to improve sexual function in men with prostate cancer: a randomized clinical trial. JAMA Netw Open. 2025. ascopost.com/news/march-2025/exercise-intervention-may-impro(閲覧日 2026年10月13日)
- Anglia Ruskin University. Exercise could help combat premature ejaculation, study suggests(Trends in Urology & Men's Health 掲載の総説の紹介、2023年) www.irishnews.com/magazine/science/2023/03/07/news/exercise_(閲覧日 2026年10月13日)